【ご報告】人材育成講座2 開催しました
2022年7月31日
うみのもり 人材育成講座2
【手で見てつくる】
視覚障がい児の制作から学ぶ
日本女子大学名誉教授 千葉県立盲学校教諭
西村陽平先生にご登壇いただき実施しました。
最初に西村先生がお勤めでいらした
千葉県立盲学校での授業をNHKが撮影した動画をご覧いただきました。
そして、お一人約10キロの水粘土をお渡ししました。アイマスクをし【盲】を体験しつつ その後モチーフをお渡ししました。
指先だけで見て感じて粘土で作り上げていくのです。
約20分ほど制作ののち
出来上がったお互いの作品を見合います。
解釈それぞれ、見えない状態での制作だからこそ、生まれる形は見ているからなのか
いや、記憶の積み重ねが表出したのか
出来上がった作品からも私たちは作者の
様々な物語を妄想しました。
ワークショップ後の質疑応答で
私が西村先生に質問したのですが
映像の中の子どもたちも
今回のワークショップも粘土をつけていく作業性だったが
かたまりから削っていく制作のご経験はあるか
また、それを好む傾向のかたがいるかをお尋ねしました。
糸を使って削る、切るなどの例を西村先生はご紹介くださいましたが
弱視の参加者のかたより
削る行為は道具を伴う。そうなると道具を使うことへの不安が視覚障害者にはあり
その点で安心して制作できる場であること、安全な道具であることが伝わるまで
削る作業は難しいとのお声も出ました。
当事者の経験から来るお話は大変学びが多く
いかに安全安心が伴った上での制作環境創出が重要であるかを感じました。
これこそ対面の授業での化学反応ですよね。
※この質問はその場では伝えませんでしたが
私の先輩の彫刻家のかたからのお話で
塑造(粘土での制作、粘土をつけたり取ったりもあるが基本、粘土をプラスしていく創作)と彫刻(木や石などを削っての制作内側から形が生まれてくる創作)
どちらの制作感覚も必要というお言葉に
彫刻家を尊敬する私には感銘を受けた次第、そのことからの私の質問でした。
立体制作をするにあたっての感覚の違いが障害のあるかたはどのように表紙するのか
楽しみでもあります。
今回は植草学園大学•短期大学の大きな講義室に
感染対策も兼ね間隔をあけての講義です。
対策上2メートル開けることは、結果、制作者の間に直の関わりが持ちにくい距離があることは自分だけの世界に入りやすいという利点もありますね。参加者の集中しきっておいででした。
「うみのもり」が千葉県障害者芸術文化活動支援事業を受託してからはじめての対面での講義です。うみのもりのスタートは同時にコロナとの戦いでもあります。
今回、植草学園大学の大きな講義室をおかりできたのは
うみのもり顧問を担っていただいている野澤和弘先生と大学との関わりを持てると良いねと提案くださった西村陽平先生のお陰です。
植草学園大学野澤ゼミの最高に明るくて前向きな学生さんたちもお手伝い&ワークショップに参加してくださいました。
午前午後、あわせて約40名の参加でした。
このご経験が皆様のそばにいらっしゃる障がいのあるかたに取って良い刺激となりますよう心から願っております。
ご参加ありがとうございました。
(こまちだ たまお)